LOCAL STORIES

郷土資料

久世野の各地域には、暮らしや景色にまつわる話が伝えられています。
聞き取りや古い記録をもとに、その一部をご紹介します。

STORIES OF KUSENO

久世野に残る昔話

全5話

夕暮れの桜野川を飛ぶほたる桜野町・夏の言い伝え桜野川のほたる詳しく読む

昔の桜野川には、夏になると数えきれないほどのほたるが集まったといいます。夕暮れどき、川沿いの道から眺めると、小さな灯りが水面にも映り、川全体がゆっくり光っているように見えました。

地域では、田植えが終わったころに家族で川辺へ出かけ、ほたるを眺めるのが楽しみのひとつだったそうです。現在も川の環境を守る活動が続けられています。

光明寺へ続く道のかたわらにある丸い石光明寺・道の言い伝え光明寺の迷い石詳しく読む

光明寺へ続く古い道のかたわらには、苔のついた丸い石がありました。霧の深い日に道を見失った人がその石のそばで休んでいると、寺の鐘が聞こえ、音をたどって無事に帰れたと伝えられています。

それから地域の人はこの石を「迷い石」と呼び、道を通るときにそっと手を合わせたそうです。現在、石は光明寺の境内近くで保存されています。

二本の桜に挟まれた昔の桜橋桜野川・春の記憶桜橋と二本の桜詳しく読む

昔の桜橋の両側には、大きな桜の木が一本ずつ立っていました。春になると枝が橋の上まで伸び、花びらの下をくぐるように川を渡ることができたといいます。

二本の桜は橋を行き来する人を見守る木として親しまれました。木は残っていませんが、「桜橋」という名に当時の景色が受け継がれています。

乾いた水川神社の境内に残った小さな水たまり水川地区・水の言い伝え水川神社の雨だまり詳しく読む

長く雨が降らず、田畑の土が乾いた年のこと。水川神社の境内には、小さな水たまりがひとつだけ残っていたといいます。人々はその水をくまず、雨が戻るまで静かに見守りました。

数日後に雨が降ったことから、水を大切にする気持ちを伝える話として残りました。今でも地域では、境内や用水路の清掃が行われています。

草地の奥に残る小さな祠桜野地域・呼び名の記録「おとよさん」について詳しく読む

桜野地域では、かつて小さな神社の神様を「おとよさん」と呼び、親しんでいたと伝えられています。正式な名前ではなく、暮らしの中で長く使われてきた呼び名と考えられています。

市が保管する聞き取り記録には、祭りの日にも同じ呼び名が使われていたことが残されています。また、「おとよさんは、おとよさんと呼ぶこと。ほかの名で呼んではならない」とする言葉も記録されています。なぜ別の名前で呼んではいけないのか、その理由は伝わっていません。

桜野地域では、「日が暮れてからおとよさんの名を呼ぶと、家までついてくる」とも語られていました。この言葉が、家まで見守ってくれるという意味なのか、子どもを神社へ近づけないための戒めだったのかは分かっていません。

正式な祭神名は、昭和期に行われた地域調査で確認された記録に残されています。

出典:桜野地域民俗調査報告書